sheetmetal ましん&そふと
多様な要望に応えるため最新設備を導入
「受けた仕事はどこよりも早く納める」
同社は1962年、名古屋市瑞穂区内の住宅街で塗装業として三進化学工業㈱を開設、創業当初の社員が3名だったことから、社名には「3人で進む」を意味した「三進」がつけられた。その後は、「受けた仕事はどこよりも早く納める」をモットーに仕事をこなしていった。1970年には、板金加工から塗装までを一貫して行う㈱三進製作所を設立。新たに板金事業に取り組むにあたって、取引があった愛知県内の電機メーカーの社員を工場長にスカウトした。縁があった電機メーカーからは、川上の仕事である筐体加工を一式で受注できるようになった。板金加工から塗装までを社内で請け負う体制を構築することで、品質向上とスピードアップ、コストダウンに対応できるようになっていった。
ファイバーレーザ溶接システムFLW-4000によるティーチング作業
②品質保持のため、TASによる補正は製品ごとに行う
③FLWによるファイバーレーザ溶接名和工場(東海市)には、ファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJベンディングマシンHD-1303NTが導入された。塗装工場には自社製の塗装クリーンルームを導入し、制度の高い塗装技術を誇っている。
sheetmetal ましん&そふと
主要設備
【本社工場】
●ファイバーレーザ複合マシン:LC-2515C1AJ
●レーザーマシン:LC-1212α3NT
●パンチングマシン:EMK-3510NT、PEGA-358
●ベンディングマシン:FBD3-5020NT/1253NT、RG-35S
●シャーリングマシン:M-1245、DCT-2565
●2次元CAD/CAM:AP100
【名和工場】
●ファイバーレーザ複合マシン:LC-2515C1AJ
●ベンディングマシン:HD-1303LNT
●ファイバーレーザ溶接システム:FLW-4000
●溶接ロボット用CAM:FLW用CAM
●3次元ソリッド板金CAD:SheetWorks
●2次元CAD/CAM:AP100
●曲げ加工データ作成全自動CAM:Dr,ABE_Bend

事業を拡大、7社のグループ企業に

事業を拡大していくためには、手狭になってきた本社工場(名古屋市天白区)を増設しなければならなかった。
板金加工といっても、平板の加工だけではなく、パイフや形鋼を加工して製作する製缶鈑金もある。近藤社長は事業を拡大するにあたり、廃業や解散した工場を買い取るため、不動産業の資格を取得し、事業を徐々に拡大していった。
2009年には、地球温暖化対策の一環として、太陽光などで発電された電力を買い取る再生可能エネルギーの固定価格買収制度がスタートした。
さらに、2011年に発生した3.11東日本大震災と福島第一原発事故をきっかけに、再生可能エネルギーを普及促進する動きも加速。
また当時、産業用(10kW以上)の太陽光発電の固定買収価格は20年間、42円だったこともあり、太陽光発電事業がビジネスとしてクローズアップされるようになった。
鈑金事業とは別に不動産売買や賃貸事業を手がけていた同社は、京セラとタイアップ。京セラの太陽光発電パネルを使って、発電装置の架台を同社で製作するとともに、太陽光発電所を敷設できる広大な土地を探し、京セラとタイアップして大規模発電所(ソーラーファーム)を建設した。
ソーラーファーム建設後は、太陽光発電事業を考える企業に発電所ごと売却するビジネスをスタートした。
これまで90MW以上のソーラーファームを建設するとともに、110MWのソーラーファーム建設の注残が控えている。「ソーラーバブルは崩壊した」という声が聞こえるなか、同事業は健闘している。
これらのソーラーファームで使用する4mの架台は、三進製作所が架台製作のために開設した名和工場で製造しており、2011年以降は架台製作の仕事が大変活況になった。

様々な分野に貢献する三進グループ

三進グループは現在、三進化学工業、三進製作所以外に、遊具やスポーツ施設の製造・据付・修理を担当する(株)サンテクニカル、フェライト・セラミック・電波吸収体の製造販売を行う(株)セフコン、不動産賃貸業の(株)三進、不動産売買や賃貸の仲介、売買を行うルビネット(株)、賃貸マンションの賃貸管理を行う(株)ケイアンドライフの7社で構成され、東京都内の有楽町にも事務所を構えている。
従業員数はグループ全体で53名、年商は30億を超えた。
「私たちの喜び」の理念
「お客さまの多種多様なご要望にお応えすることが私たちの喜び-という理念で事業を発展させてきたことで、いつの間にか三進グループができあがりました」と近藤社長は語る。
塗装業や鈑金加工業は受注型ビジネスのため、どうしてもコストや納期がかかる。また責任の所在が曖昧になりやすく、コスト競争にも陥りやすい。
同社は、1970年という早い時期に板金から塗装までの一貫生産体制を構築、さらに最新設備を導入することで、生産性や品質の向上を実現するとともに、コストダウンへの対応も怠らなかった。
加工から塗装まで、あらゆる工程を内製化することで効率的な生産を実現した。「お客さまから何を期待されているのか」「どうすればそれを満足させられるか」をいつも考えている。
豊富な技術とノウハウを活かし、機械に頼らない様々な分野にもチャレンジすることで、QCD(Quality品質・Cost費用・Delivery引渡)は高い水準を満たしている。

大型投資による効率化

2015年12月、本社工場と名和工場(愛知県東海市)に、ファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJを各1台導入した。
さらに名和工場には、ファイバーレーザ溶接システムFLW-4000、ベンディングマシンHD-1303NT、3次元ソリッド板金CAD SheetWorks、FLW用CAD、曲げ加工データ作成全自動CAD Dr.ABE_Bendを一気に導入した。
また昨年、三進化学工業は、効率化のため塗装工場を一新。大型固定釜を導入したコンベア式の塗装ラインは、作業効率がよい全長215mの最適化ラインで、そこに自社開発のスイッチレールを採用し、前処理から後工程までのリードタイムを大幅に短縮した。
さらに、独自の防塵対策を施した塗装クリーンルームや、除電システムを導入したことで、粉体・溶剤・静電塗装など、フレキシブルに対応できる体制が整った。
なお、三進製作所・名和工場に投じられた3億円以上の大型投資は、平成26年度補正予算の「省エネ補助金」を活用している。
“ドメイン”の仕事やお客さまを大切にする
「企業は常に成長しなければいけません。そのためには”ドメイン”(事業領域)の仕事やお客さまを大切にして社会に貢献することが重要です。そこで思い切った設備投資を行うことにしました」(近藤社長)。
高い省エネ効果を持つファイバーレーザ複合マシンファイバーレーザ溶接ロボットの導入は、以前から考えていた。
名和工場の現場作業者は、工場長以下9名で、そのうち3名がベトナム人研修生である。未経験者でも生産に貢献できる設備や、SheetWorks、AP100、FLW用CAM、Dr.ABE_Bendなどを導入し、外段取り化を推進するデジタル板金工場となった。
LC-C1AJは単体機で導入したが、運用に習熟すれば棚やテイクアウトローダー(TK)など、自動化のための周辺装置を後付けする計画だ。
さらに、本社工場近くに450坪の土地購入が決まり、本社工場と名和工場を統合する新工場を計画、その際には本社工場のLC-C1AJを含む2台の自動化を考えている。

FLW導入の狙いと効果

FLW-4000について、名和工場の村下工場長は次にように語る。
「溶接は、加工した製品を組み合せて製品として仕上げる重要な工程です。当社では、ベテラン作業者による技を必要に応じて使い分け、いつでも安定した品質づくりを目指しています。
主な溶接はTIG、CO2、スポット、レーザで、それぞれの長所を活かし、複合的な接合も考えていきたい。
FLWは比較的厚板への溶接や、ステンレスなどに求められる低歪み溶接、さらには溶接焼けや溶接ビードの除去といった後処理をなくすことも考えています。作業者に溶接ノウハウがそこまで求められない点も期待しています」。「LC-C1AJとFLWが設備されたことで、ステンレス製の各種制御盤筐体の製作を大手電機メーカーから受注することができました。LC-C1AJで加工し、HD-1303LNTで曲げ、その後FLWで溶接します。この3点セットで加工すると精度も高く、安定して再現性も高いです。
TIGで仮付け、定盤にセットした治具に筐体をセット、溶接線を倣ってティーチングします。盤筐体には個体差があり、初回品で成功しても2個目以降が同様に溶接できるとは限りません。そのためTAS(ティーチング・アシスト・システム)を使って、必ず製品1点ごとにプログラムを補正します。
稼働率は落ちますが、後処理や溶接品質など総合的に考えた場合、FLWの導入効果はとても高いと考えています。
溶接線をインプロセスでセンシングして補正をかけるシステムが他社で開発されていると聞いているので、TASによる補正作業の改善を期待します」。
「製造業はサービス業」
「三進グループはサービス産業も手がけており、製造業はサービス業の一環とも考えています。想像力豊かなモノづくりをこれからも目指していきたい」と語る近藤社長。2代目社長に就任してからは、人生の半分以上を「社長」として経営の重責を担い、グループ発展に貢献している。